若月寿一札幌地方隊友会会長挨拶              本日の演題   セミナーは国家斉唱から開始

平成29年度札幌防衛セミナー



              平成29年11月11日(土)共済ホール

              主 催 : 公益社団法人 隊友会 札幌地方隊友会

              協 賛 : 公益財団法人 北海道 水 交 会
                           第11旅団友の会


第37回札幌防衛セミナー会長挨拶


                                      公益社団法人 隊友会
                                       札幌地方隊友会
                                        会長 若 月 寿 一 

             皆様、本日は第37回札幌防衛セミナーにご参加を頂き、ありがとうございます。
             本セミナーは、札幌地方隊友会が、地域の皆様と自衛隊のかけ橋として、防衛意識の普
            及・高揚を目的に実施しており、今回は、37回目を迎える当会伝統の行事です。
             本セミナーは、隊友会員はもとより、特に協賛団体の「公益財団法人 北海道水交会」
            及び「第11旅団友の会」の大きなお力添えと現職自衛官、関係協力企業・団体、特別会
            員そして有志の方々のご協力・ご支援を戴き開催する運びとなりました。誌面をお借りし
            て改めてお礼と感謝を申し上げます。
             今年もお二人の講師をお招きしました。一人は、「元陸上幕僚長 岩田清文」先生で、
            もう一人は「作家 竹田恒泰」先生です。我が国を取り巻く安全保障環境は、ますます厳
            しさを増しております。北朝鮮は、近年核実験や弾道ミサイルの発射など、軍事的な挑発
            を繰り返しており、また、我が国周辺海空域における中国軍やロシア軍の活動も活発化し
            ております。特に、中国は、東シナ海における公船による領海侵入を繰り返すなど、尖閣
            諸島に関する一方的主張により緊張を高める活動を継続して、既成事実化を図ろうとして
            います。
             10月22日に第49回衆議院選挙が行われ、政権与党は313議席を獲得し定数の3
            分の2を超え、今後、公約に掲げた「改憲」に向けて幅広い合意を目指し謙虚に努力を重
            ねることが予想されます。
             本日のお二人の講演は、今一度日本の素晴らしさを思い起こし、厳しい環境下、我が国
            を如何に守っていくか、皆様にとりまして必ずや開眼と覚醒をもたらしていただけるもの
            と信じております。皆様のご静聴の程、宜しくお願い致します。

札幌防衛セミナー講師プロフィール

岩 田 清 文 (いわた きよふみ)

・昭和32年、四国徳島県生まれ 
・昭和54年 防衛大学校(第23期)卒業 
・昭和54年 陸上自衛隊入隊 
・平成13年 第71戦車連隊長(北千歳) 
・平成22年 第7師団長(東千歳)
・平成24年 第33代 北部方面総監(札幌)
・平成28年 第34代 陸上幕僚長(市ヶ谷)
・平成28年 三菱電気 株式会社 顧問

退官後、全国的に講演活動を行い、防衛意識の普及・啓蒙に勤める 

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国際環境の変化

北朝鮮の核・弾道ミサイル開発

6度の核実験を進め、核保有を宣言する北朝鮮。そして、その核を運搬する手段として、どんどん射程を伸ばし、アメリカを射程圏内に収めようとミサイル開発を進めている北朝鮮。既にグアムまでの射距離を確保しアメリカ本土までは時間の問題とされている。今後は、核の小型化と、大気圏再突入時の耐熱技術確保のため更にミサイル発射が行われると思われる。我が国のミサイル防衛強化が望まれる。

中国の進出

中国の海洋戦略をあらわすキーワードは「第一列島線」と「第二列島線」である。日本列島、 沖縄を含む南西諸島、フィリピン、さらにインドネシアの大スンダ列島に至る第一列島線は、そ の内側に中国が主張する排他的経済水域をカバーするものであり、中国にとって絶対的な制海権を確保する対象である。さらに第二列島線は、伊豆諸島から南下し小笠原諸島を経てマリアナ諸島、さらにパプアニューギニアに至るもので、西太平洋における中国海軍の活動の拡大を図るための目標とみなされる。米軍の西太平洋における拠点であるグアムはこの第二列島線上にあり、中国がこの海域まで進出し、米海軍の行動を制約出来れば、台湾有事の際に米軍の介入は困難と なり、中国にとって台湾への軍事力行使はきわめて容易になる。いわゆる中国の対米「接近阻止」 戦略であり、そのために米空母を標的とする対艦弾道ミサイル「東風 21D」の開発も進めている。

南シナ海の「聖域」化がもたらす摩擦
 2010年以来、中国が南シナ海を、チベットや台湾と並ぶ「中国の核心的利益」と呼ぶようになり注目された。一般的には、ベトナムやフィリピンなどと領有権の主張でぶつかる南沙諸島の確保を念頭におくものと理解されているが、戦略的には異なった見方ができる。中国が南シナ海の 海南島に新たな潜水艦基地を作り、そこに新型のタイプ 094「晋」級ミサイル原潜が配備されている。つまり、中国は南シナ海をミサイル原潜のための「聖域」にしたいのである。これまで中国はタイプ092「夏」級ミサイル原潜を一隻保有し、山東省青島の潜水艦基地に配備してきたが、作戦任務につくことはなかった。東シナ海、さらに北部の黄海は水深が浅く、かつ韓国、日本に 近いこともあり、ミサイル原潜が行動するのに適切な海域ではなかった。さらに北の渤海湾は、完全な中国の「内海」で、「聖域」化は容易なものの、水深が平均で 25 メートルに過ぎず、潜水艦の活動自体が困難である。結論的に、南シナ海をミサイル原潜の「聖域」とし、これまで地上 発射の戦略核ミサイルにのみ依存してきた核抑止力に、新たに非脆弱な核抑止力としてミサイル 原潜を展開する構想を実現しようとしているのである。
南シナ海を「聖域」とするためには、この海域における絶対的制海権を中国が確保する必要が ある。中国が空母の保有を実現するとすれば、南シナ海に配備するだろうと予測されるのもそのためである。ただし、この海域は日本や韓国、さらに中国にとっても重要な海上輸送ルートに当 たり、中国がこの海域で海軍力を強めようとすればするほど、国際的な摩擦を生じることになる。 中国の軍事戦略の発展は、東アジア地域に広く影響を与える段階にまで来ている。

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ロシア軍

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軍の「コンパクト化」については、16(同28) 年をもって100 万人とすることとされた。また10(同22)年12月以降は、従来の6個軍管区を西部、南部、中央及び東部の 4 個軍管区に改編したうえで、各軍管区に対応した統合戦略コマンドを設置し、軍管区司令官のもと、地上軍、海軍、空軍など全ての兵力の統合的な運用を行っている。。


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(同 26)年12 月には、北極を担当する 北部統合戦略コマンドの活動が開始された。軍の「近代化」については、10(同 22)年末までに大統領により承認されたとみられる「2011 年から 2020 年までの装備国家綱領」に基づき、 20(同 32)年までに約 20兆ルーブル(約 42 兆円) を投じて新型装備の比率を70%にまで高めるなど装備の近代化をさらに推進するとしている。


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軍の「プロフェッショナル化」については、常時即応部隊の即応態勢を実効性あるものとするため、徴集された軍人の中から契約で勤務する者を選抜する契約勤務制度(下士官・兵卒が対象)の導入が進められている。契約軍人の数は、15(同 27)年に初めて徴集兵を上回り、今後も契約軍人の割合を増やしていくとされている。

陸上自衛隊の現状〜大改革

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 島嶼部に対する攻撃に対応するためには、安全保障環境に即して部隊などを配置するとともに、平素からの 常時継続的な情報収集、警戒監視などにより、兆候を早期に察知し、海上優勢・航空優勢を獲得・維持する ことが重要である。 事前に兆候を得たならば、侵攻が予想される地域に、陸・海・空自が一体となった統合運用により、部隊を 機動的に展開・集中し、敵の侵攻を阻止・排除する。島嶼への侵攻があった場合には、航空機や艦艇による 対地射撃により敵を制圧した後、陸自部隊を着上陸させるなど島嶼奪回のための作戦を行う。




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 南西地域の防衛態勢強化のため、16(平成28)年 1月、那覇基地に第9航空団を新編し、同年3月、与那国 島に与那国沿岸監視隊などを新編した。さらに、17(同 29)年 7 月には南西航空方面隊を新編した。このほ か、南西地域の島嶼部(奄美大島、宮古島、石垣島)への警備部隊の配置、本格的な水陸両用作戦機能を備え た水陸機動団(仮称)の新編、SH-60K 回転翼哨戒機の取得などを行う。



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 改編対象となる師団・旅団は北から第2師団(司令部:北海道旭川市)、第5旅団(司令部:北海道帯広市)、第11旅団(司令部:北海道札幌市)、第6師団(司令部:山形県東根市)、第12旅団(司令部:群馬県榛東村)、第14旅団(司令部:香川県善通寺市)、第8師団(司令部:熊本県熊本市)の計7個単位が予定されている。
当初の部隊改編は26中期防期間中に2個師団と2個旅団の計4個単位が計画され、残る3個師・旅団の改編は次期中期防に持ち越される。

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25大綱に基づく統合機動防衛力の構築のため、陸上自衛隊は実に壮大な改革に取り組んでいる。その目指すところは、厳しさを増す安全保障環境に即応し、事態に切れ目なく機動的に対処し得る陸上防衛力の構築である。これを実現するため、島嶼部に対する攻撃への対応を特に重視している。

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 平素からの「部隊配置」、侵攻阻止に必要な部隊の「機動展開」、島嶼部に侵攻された場合の「奪回」の3段階から成っている。「部隊配置」は、南西地域に沿岸監視部隊や警備部隊を配備すること、「機動展開」は、全国の師団・旅団の約半数を高い機動力や警戒監視能力を備えた機動運用を基本とする機動師団・旅団に改編すること、そして、「奪回」は、本格的な水陸両用作戦を実施し得る水陸機動団を新編することが計画されている。これらの部隊には機動戦闘車、水陸両用車、オスプレイ(V-22)などが導入される。

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さらに、全国の陸自部隊を一元的に運用し、海・空自部隊との統合運用や米軍との日米共同の実効性を向上するため、現在の5個方面隊の運用を束ねる統一司令部として陸上総隊を新編する(陸上総隊司令部を平成29年度に朝霞駐屯地内に新編予定)。あわせて、教育・訓練・研究機能を一体化し、これら3つをスピード感をもってスパイラル的に融合し、将来にわたり改革を継続し得る体制を整備する。

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 これらの取組の具現にあたっては、従来にない隊員の大規模な全国異動を必要とし、総じてこの大改革は、組織改革や制度改革のみならず、隊員個人の覚悟に至る意識改革までもが包含される、壮大かつ広範に及ぶものであり、陸上自衛隊は一丸となってこの創隊以来の大改革に取り組んでいる。

札幌防衛セミナー講師プロフィール

竹 田 恒 泰 (たけだ つねやす)

・作家 昭和50年、旧皇族・竹田家に生まれる。
・明治天皇の玄孫にあたる。
・慶応義塾大学法学部法律学科卒業
・平成18年「語られなかった皇族達の真実」(小学館)で第15回山本七平賞を受賞
・「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」及び「現代語古事記」などの多数の著書を上梓している。
・全国17カ所で「竹田研究所」を開催している。

代表的な著書
・「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」(PHP研究所)・「現代語古事記」(学研プラス)・「日本人が一生使える勉強法」(PHP研究所)・「日本人の礼儀作法〜宮家のおしえ〜」(マガジンハウス)・DVD「古事記完全講義・入門編」、「古事記完全講義」BOX1〜4膳16枚(描くBOX4枚組)、「ロシアよ!領土を還したまえ!」

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本演題は、2010年12月15日にPHP研究所から出版された書籍の名称で、これをベースに話された。日本に対しては世界から、食文化、ものづくり、日本語、和の心などといった日本文化に対して好意が寄せられていることから日本が世界で人気となっているのだが、日本人は自分の国を愛することができていないことが残念ということである。講演ではクールジャパンの源流をたどることで、日本で古代から綿々と伝わっている日本文明の精神や、天皇の存在までが明らかにされている。

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日本最古の歴史書で、天武(てんむ)天皇の命によって、大安万侶(おおのやすまろ)が書いて編集したものです。
上巻、中巻、下巻の三巻で構成されています。上巻はイザナミやイザナキ、アマテラスやスサノオと言った神代を。中巻、下巻は推古天皇までの、歴代の天皇の業績が描かれています。上巻は日本誕生からアマテラスの孫であるニギギが地上に降りる、天孫降臨を経てのイワレヒコ(神武天皇)の誕生までが記されています。いわゆる日本神話ですね。

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旧軍隊と皇族の関係。天皇は国の象徴として、政治的に色がつくデリケートな問題については、触れないことが暗黙のルールになっていますが、旧軍時代は深い結びつきがあった。天皇は最高指揮官、皇族も幹部クラスで部隊の中で活躍されていた。大東亜戦争の終結を告げる際にも皇族が天皇の代理として、戦地の部隊へ武装解除を伝えたのも皇族である。

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今まさに我が国は危機的状況かもしれない、義務教育において、日本の偉大なる歴史を教えることはない。なぜだろう?教えてなならない何かがあるのだろうか?素晴らしい歴史書であるにもかかわらず「古事記」や「日本書記」を教えることもない。神話を語ることもなければ、天皇陛下の存在の大きさや日本人の精神的な根幹を学ぶこともない・・・と、竹田氏は指摘する。

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イギリスの世界的な歴史学者アーノルド・トインビーは「12・13歳くらいまでに自国の神話を学ばなかった民族は例外なく滅ぶ」と。敗戦後、神話を教えなくなった日本にとって恐ろしい指摘である。

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「あなたの国で最初の神様はどなたですか?」と聞いてもほとんどは答えることができない。そんな国は日本だけである。誰が日本神話を奪ったか知ってますか?それはGHQです。日本人の凄まじいばかりの精神の高さに恐れをなしたGHQは神道指令を発し「宗教、神話としての神道」を奪い去った。

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「古事記」「日本書記」は史実ではなく非科学的だと、教えることを止めさせた。しかし、アメリカの大統領の即位式に、今でも聖書を手に置き宣誓する。その聖書は史実で科学的なのか?ノアの箱船、マリア処女生誕と奇跡のオンパレードである。とても史実で科学的とは思えない。だからだと言ってアメリカが悪いとは思っていない。敗戦後70年も邪悪な破壊工作をそのまま受け入れてきた。現在の日本人の問題であろうと・・・

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本日のお二人の講演は、今一度日本の素晴らしさを思い起こし、厳しい環境下、我が国をいかに守っていくか、皆様にとりまして必ずや開眼と覚醒をもたらせていただけた素晴らしいものでありました。来年も同様セミナーを開催いたします。本日はありがとうございました。旨挨拶され閉会となった。

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本日、札幌防衛セミナーに参加した滝川支部会員(左から金子・気田、根本、安樂)